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KYK LETTER

  • 東京支店より

NYKみなべのアカウミガメ調査プログラムに参加してきました!!                   (2022.7.14~16) 

この度、日本郵船株式会社(NYK)と認定NPOアースウォッチ・ジャパン(EWJ)が協働して調査を行っているボランティアプログラムに、NYKグループの一員として参加してきました。2016年より始まり今年で7年目となったこの活動ですが、新型コロナウィルス蔓延の関係でボランティアを募集しての調査は3年ぶりの開催となり、私は7/1416(23)の日程にて参加致しました。具体的には、和歌山県日高郡みなべ町の浜辺に産卵の為に上陸する絶滅危惧種であるアカウミガメの生態調査を通じ、海洋環境の保全について学ぶという内容です。参加理由には、近海郵船㈱が「日本ウミガメ協議会」の付属研究所である「黒島研究所」にウミガメの生態を調査する調査船の寄贈及び継続支援をする事が決まり、その一端にでもなれればという想いが半分と、ウミガメそのものや生態調査への純粋な興味がもう半分ありました。

 期待を裏切る事になるので早めに記載しますが、今回の活動の中では、ウミガメの産卵を観察する事はできませんでした!!

産卵時期に行ったんじゃないの?何の為に行ったの?という声があちこちから聞こえてきそうですが、自然を相手にする中で、研究者らが何十年とかけて調査している事をたかが3日間で体験しようだなんておこがましい事この上ないな、というのが今の感想です。産卵周期の谷間(偶然)でありかつ天候も良くはなく、ウミガメに出逢えなかったのは残念ですが、それを差し引いてもこのボランティアに参加できた事は良い経験となりました。来年以降、近海郵船関係者の皆さんにも是非エントリーしてこの活動を体験して欲しいと思います。

 1.ウミガメの調査

生き物の調査は何時間もじっとして待つ/見えない様に影に隠れて待機、とイメージする方も多いのではないでしょうか?このみなべのアカウミガメ調査はその逆で、15分歩き15分休みを繰り返して浜辺を往復する、中々に体力の要る調査でした。アカウミガメは陸に上がり〜産卵〜終えて海に戻るまで、早いものでは1時間と掛からない事に加え、浜辺は約1.3kmあり、そのどこに上陸するかは分当然かりません。それを見逃さない為にも、休憩を挟みながらひたすら歩く手法を取っている様です(※往路で無かったウミガメの足跡が復路で見つかった=ウミガメがいる証拠!)。この活動を2126時まで、計2日間行いました。砂浜、岩場、一部川を慣れないダイビングシューズで、慣れない時間に歩くのは容易ではありませんでしたが、ウミガメがいるかも知れないと想いながら歩くワクワク感、休憩中に波の音を聞きながら何も考えずボーっとする時間は、サラリーマン生活では滅多に味わう事の出来ないものでした。

写真)みなべの調査対象海岸(右:千里浜/左:岩代浜)                     写真2)海岸に残るウミガメの足跡(右:ウミガメ足跡/左:産卵跡)

 2.梅の街みなべ

2日目の午後にはみなべ町について学ぶ時間がありました。農作物栽培面積の9割が梅、第1~3次産業併せた梅に関わる産業割合が7割にも及び、役場には「梅課」が存在するみなべ町が、文字通り梅の街である事を知りました。南高梅という言葉を耳にした事があると思いますが、これは梅の品種「南高」の事で、昭和40年に南部(みなべ)高校の先生や生徒が調査研究に携わっていた事が命名の由来となっているそうです。また、日本で11箇所しかない「世界農業遺産」認定地域であり(梅を用いた生物多様性の確保)、ウミガメ調査の為に行ったのですが、ウミガメ以上に「梅」文化が深く根付いている地域である事を認識しました。サポートスタッフにも梅農家の方がおり、本業がありながらもウミガメの保護活動に大きく貢献されている(研究者でもボランティアでもなく、地元の人らが自分たちの町を良くしたいと思う意識が根底にあり、自主的に活動を行っている)姿を見て、保護活動の本来の姿を見た様な気がしました。

写真3)みなべ町うめ振興館(右:入口道路看板/左:室内展示)                           写真4)みなべ町(右:ウミガメマンホール/左:みなべ駅壁面アート)

3、宿泊するからこそ体験できた事

 みなべ町のサポートスタッフと共に行動できた事と同じくらい印象的だったのが、保護活動を通じて行っている最新の研究に触れた事でした。このボランティアに同行頂いた松沢先生は、日本ウミガメ協議会の会長を務めており、世界的にもウミガメ研究の第一人者です。その先生から、2日間に渡り日中は濃厚な講義(これまで先生が研究してきたこと、今後やりたい事等)を受け、一緒にフィールドワークを行い、調査終了後には先生の部屋へ集まり朝方まで会話できた事は、ウミガメの産卵を観る事以上に贅沢で価値のあるものになりました。ただのボランティアでは、接点すら持てなかったと思います(ウミガメ界の権威が、ド素人相手にウミガメを1から語る機会は早々ないでしょう!)。ボランティア、地元スタッフ、研究者と立場の違う人間が一緒に行動した相乗効果で、自分の視野がより広がったと感じております。

写真5)宿での様子(食事/宿展示物/講義の様子)

 4、興味を持ってもらい、その輪を広げる

 このボランティアに参加した事で何かできる様になったか?と聞かれても答えは「No」ですし、ウミガメの保護活動こそが自然()の環境保全に直結するなんて結論にも至っておりません。しかし、より前向きな興味・関心を抱く様になりました。私にとって非日常であるウミガメは、地元の人にとっては日常であり、研究者にとってはこの世界を考える上での物差しでした。SDGsや環境保護なんて単を聞くと身構えてしまう事が多いですが、きっかけや始めの一歩は、身近な「興味」で良いのです。それがあるかないかで、目の前のゴミ1つに対する考え方も変わってきます。今の仕事と何の関係があるのか?なんて頭をひねる必要はありません。このボランティアプログラムをきっかけにして、まずはその輪の中に飛び込んでみるのも良いのではないでしょうか。個人的には来年の同じ時期に今度こそウミガメに遭う為に、またみなべ町を訪れたいと思っています。

 余談ですが、松沢先生に「(日本の)おすすめ水族館はどこですか?」聞いた所、以下の答えを頂きました。

遊びに行く際の参考にしてみてください。

・大分マリーンパレス水族館「うみたまご」

・名古屋港水族館

・サンシャイン・コースト水族館/すみだ水族館(関東であれば)

    第1回 黒島研修体験記

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黒島研究所調査船「AKARI」寄贈セレモニー

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